人は粒子でできていて実体はない
私や神は脳の中にある
私や神は脳の中にある
柳澤桂子「生きて死ぬ智慧」小学館
「般若心経現代語訳」
柳澤桂子「いのちの日記」小学館
より
・人は粒子でできていて
「私」という実体はない
「私」という実体はない
お聞きなさい
あなたも 宇宙のなかで
粒子でできています
宇宙の中の
ほかの粒子と一つづきです
ですから宇宙も「空」です
あなたという実体はないのです
宇宙はクオークという極微の粒子でできており、
クオークが集まって原子となり
原子が集まって分子となる
分子が集まって物質ができている
地球上にあるものはすべて
分子の固まりで
その中に分子の濃度の濃淡があるだけである
水の音は水の分子のぶつかり合う振動であり
光は波動の性質を持った粒子である
「私」という個別のものは存在しない
「私」がいると思うのは人間の脳の幻覚である
実体のない「空」である
・神は脳の中にある
今から8万年前、ネアンデタール人は
遺体を埋葬して花を飾った
宗教的感情を持っていた
古い時代から
神(宗教)は
脳の神経回路に組み込まれていたのではないか
たとえば、
数百年、数千年を生き抜いた一本の巨樹の前にたたずむ時、
そのいのちの豊穣さ壮麗さに心をうたれる
幼少期より育まれた自然に対する畏敬の念が
長じて後
「脳の中に存在する神」によって
人生や精神生活を豊かにする
科学と宗教は別のものではない
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