2012年10月23日火曜日

美は脳の中にある 2 Beauty is in the brain 2

 
 
前回、
「美は観る人の脳の中にある」
"Beauty is in the brain of the beholder."
と書きました
cf.「美は脳の中にある」⇒



まず物(リンゴ)が見える仕組みをたどってみましょう

出典:「知っておきたい色の話」


太陽(光源)の光がリンゴにあたって反射した光が
瞳孔⇒水晶体⇒硝子体を通り
網膜に焦点を結びリンゴの映像ができます

しかし、
未だ物が見えているわけではありません。
 

 
出典:レーシック医療
 
 
 
リンゴの映像(光)は網膜上の
絨毯状に並んだ1億個以上の視細胞(錘状体・桿状体)
に分かれて届きます
網膜の視細胞
出典:「知っておきたい色の話」


個々の光は
視細胞で電気信号に変換されて
視神経を通って
大脳の後ろ側にある
1次視覚野に伝わります

1次視覚野では
リンゴの形(輪郭)、色、運動などの
情報データーが抽出されます

抽出されたデーターが
視覚連合野に渡されます

視覚連合野では
りんごの形(輪郭)、色、運動に関する
視覚データーの高度な分析が行われ
ヒトに認知される状態になります

ここで初めて物(リンゴ)が見えた
と言っていいと思います




 
出典:「脳の高次機能」ERP総論
 
 

次に
高次連合野(側頭、頭頂、前頭の各連合野が関連)
に送られます

高次連合野では
リンゴの形(輪郭)、色、運動などの視覚情報と
触覚、味、香りなどの感覚情報
記憶された過去の知識
が総合的に組み合わされ(統合され)、
これは何だという認知・判断がなされます
これが真に見えたという状態です
 
次いで 
思い(好き、嫌い、おいしい、美しい、食べたいなど)を感じ
価値判断し
どうしようという行動(採って食べる)を決定します

運動野が指令し行動するわけです


 

ものが見えるためには
 


光が電気信号に変わり

対象⇒網膜(視細胞)⇒1次視覚野⇒視覚連合野⇒高次連合野

の過程を経るわけです


高山氏に寄れば、
脳の部門(野)間には相互作用があって、
いくつかは同時に動いている
とのことです

氏のモデルを示すと

 
以上をまとめると
 
「人間が観ているものは
自分の脳の中で再構築された映像である」
 
ということになります

"The thing which a human being watches
 is a picture rebuilt in one's brain"

 
 
引用文献:
・坂井建雄、久光正 「ぜんぶわかる 脳の辞典」成美堂出版
・筑波大学大学院 高山誉史氏 H10修士論文「製品形態に関する人間の認知的考察」
 
・シャープ 「知っておきたい色の話」 http://www.sharp.co.jp/aquos/technology/color/index.html
・出典:「知っておきたい色の話」

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